リハビリテーション(医科)

【認知症患者リハビリテーション料】2020年度・診療報酬(医科|H007-3)

認知症患者リハビリテーション料(1日につき)240点

別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、重度認知症の状態にある患者(区分番号A314に掲げる認知症治療病棟入院料を算定するもの又は認知症に関する専門の保険医療機関に入院しているものに限る。)に対して、個別療法であるリハビリテーションを20分以上行った場合に、入院した日から起算して1年を限度として、週3回に限り算定する。

通知

(1)
認知症患者リハビリテーション料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届出を行った保険医療機関において算定するものであり、重度認知症の患者(区分番号「A314」認知症治療病棟入院料を算定する患者又は認知症疾患医療センターに入院している患者に限る。)に対して、認知症の行動・心理症状の改善及び認知機能や社会生活機能の回復を目的として、作業療法、学習訓練療法、運動療法等を組み合わせて個々の症例に応じて行った場合について算定する。ここでいう重度認知症の患者とは、「「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」の活用について」(平成18年4月3日老発第0403003号。「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の別添6の別紙12及び別紙13参照)におけるランクMに該当するものをいう。ただし、重度の意識障害のある者(JCS(JapanComaScale)でⅡ-3(又は30)以上又はGCS(GlasgowComaScale)で8点以下の状態にある者)を除く。また、ここでいう認知症疾患医療センターとは、「認知症施策等総合支援事業の実施について」(平成26年7月9日老発0709第3号老健局長通知)に基づき、都道府県知事又は指定都市市長が指定した保険医療機関であること。

(2)
認知症患者リハビリテーション料は、対象となる患者に対して、認知症リハビリテーションに関して、十分な経験を有する医師の指導監督の下、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が個別に20分以上のリハビリテーションを行った場合に算定する。また、専任の医師が、直接訓練を実施した場合にあっても、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が実施した場合と同様に算定できる。

(3)
認知症患者リハビリテーション料を算定すべきリハビリテーションは、1人の従事者が1人の患者に対して重点的に個別的訓練を行う必要があると認められる場合であって、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士と患者が1対1で行うものとする。なお、当該リハビリテーションを実施する患者数は、従事者1人につき1日18人を上限とする。ただし、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の労働時間が適切なものになるよう配慮すること。

(4)
認知症患者リハビリテーションを行う際には、定期的な医師の診察結果に基づき、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士等の多職種が共同してリハビリテーション計画を作成し、区分番号「H003-2」リハビリテーション総合計画評価料1を算定していること。

(5)
認知症患者リハビリテーションを算定している患者について、区分番号「H000」心大血管疾患リハビリテーション料、区分番号「H001」脳血管疾患等リハビリテーション料、区分番号「H001-2」廃用症候群リハビリテーション料、区分番号「H002」運動器リハビリテーション料、区分番号「H003」呼吸器リハビリテーション料、区分番号「H007」障害児(者)リハビリテーション料又は区分番号「H007-2」がん患者リハビリテーション料は別に算定できない。

カルテ等への記載事項

特記事項なし。

レセプト記載事項

「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」のランク、診療時間及びリハビリテーション計画作成日を記載すること。なお、「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」のランクについては、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(平成30年3月5日保医発0305第2号)別添6の別紙12におけるランクの中から該当するものを選択して記載すること。

認知症高齢者の日常生活自立度1
認知症高齢者の日常生活自立度2
認知症高齢者の日常生活自立度2a
認知症高齢者の日常生活自立度2b
認知症高齢者の日常生活自立度3
認知症高齢者の日常生活自立度3a
認知症高齢者の日常生活自立度3b
認知症高齢者の日常生活自立度4
認知症高齢者の日常生活自立度M

施設基準

1 認知症患者リハビリテーション料に関する施設基準

(1)
認知症患者のリハビリテーションを行うにつき、十分な経験を有する専任の常勤医師が1名以上勤務していること。なお、週3日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週22時間以上の勤務を行っている専任の非常勤医師(認知症患者のリハビリテーションを行うにつき、十分な経験を有する医師に限る。)を2名以上組み合わせることにより、常勤医師の勤務時間帯と同じ時間帯にこれらの非常勤医師が配置されている場合には、当該基準を満たしていることとみなすことができる。十分な経験を有する専任の常勤医師とは、以下のいずれかの者をいう。

ア:認知症患者の診療の経験を5年以上有する者
イ:認知症患者のリハビリテーションに関し、適切な研修を修了した者
なお、適切な研修とは、次の事項に該当する研修である。
(イ):国又は医療関係団体等が主催する研修であること(6時間以上の研修期間であるもの)。
(ロ):認知症患者のリハビリテーションについて専門的な知識・技能を有する医師の養成を目的とした研修であること。
(ハ):講義及び演習により次の内容を含むものであること。
ー(a):認知症医療の方向性
ー(b):認知症のリハビリテーションの概要
ー(c):認知症の非薬物療法について
ー(d):認知症の鑑別と適する非薬物療法
ー(e):認知症の生活機能障害の特徴とリハビリテーション
ー(f)進行期認知症のリハビリテーションの考え方
(ニ)ワークショップや、実際の認知症患者へのリハビリテーションに係る手技についての実技:等を含むこと。

(2)
専従の常勤理学療法士、常勤作業療法士又は常勤言語聴覚士が1名以上勤務していること。ただし、ADL維持向上等体制加算、回復期リハビリテーション病棟入院料及び地域包括ケア病棟入院料を算定する病棟並びに地域包括ケア入院医療管理料を算定する病室を有する病棟における常勤理学療法士、常勤作業療法士又は常勤言語聴覚士との兼任はできない。なお、当該保険医療機関において、認知症患者リハビリテーションが行われる時間が当該保険医療機関の所定労働時間に満たない場合には、当該リハビリテーションの実施時間以外に他の業務に従事することは差し支えない。また、専従する言語聴覚士がいる場合、第7部リハビリテーション第1節の各項目のうち専従の常勤言語聴覚士を求める別の項目について、別に定めがある場合を除き、兼任は可能であること。なお、週3日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週22時間以上の勤務を行っている専従の非常勤理学療法士、非常勤作業療法士又は非常勤言語聴覚士をそれぞれ2名以上組み合わせることにより、常勤理学療法士、常勤作業療法士又は常勤言語聴覚士の勤務時間帯と同じ時間帯にこれらの非常勤理学療法士、非常勤作業療法士又は非常勤言語聴覚士がそれぞれ配置されている場合には、それぞれの基準を満たしていることとみなすことができる。

(3)
治療・訓練を十分実施し得る専用の機能訓練室を有していること。専用の機能訓練室は、当該療法を実施する時間帯において「専用」ということであり、当該療法を実施する時間帯以外の時間帯において、他の用途に使用することは差し支えない。

(4)
当該療法を行うために必要な専用の器械・器具を対象患者の状態と当該療法の目的に応じて具備すること。

(5)
認知症疾患医療センターとは、「認知症対策等総合支援事業の実施について」(平成26年7月9日老発0709第3号老健局長通知)における、基幹型センター及び地域型センターとして、都道府県知事又は指定都市市長が指定した保険医療機関であること。

2 届出に関する事項

(1)
認知症患者リハビリテーション料の施設基準に係る届出は、別添2の様式43の3を用いること。

(2)
当該治療に従事する医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士その他の従事者の氏名、勤務の態様及び勤務時間等を別添2の様式44の2を用いて提出すること。なお、当該従事者が認知症患者リハビリテーションの経験を有する者である場合は、その旨を経験欄に記載するとともに、証明する修了証等を添付すること。

(3)
当該治療が行われる専用の機能訓練室の平面図を添付すること。

認知症患者リハビリテーションの施設基準に係る届出書添付書類

認知症患者リハビリテーションの施設基準に係る届出書添付書類2